5/23 彼杵川調査団レポート
私は生まれてから18年の間を東京で過ごした。東京の川といえば、両岸はしっかりと護岸され、泳げないほど川幅は広く、流れも感じず、川底も黒ずんで見えず。それでいて、ひとたび氾濫すれば甚大な被害をもたらす。そんな殺風景で近寄りがたいものであった。
しかし、今回の調査で初めて東彼杵を訪れ、私の川に対するイメージは180度変わった。無機質な柵はない。みんなが親しみを込めて川に入り、潜ってみては生き物を捕まえて観察している。集まっている人の中に、仕方なく連れてこられている人はいない。多が東彼杵以外に拠点を持ち、普段はそれぞれの場で活動しながらも、わざわざ東彼杵に集まってきている。そんなところに、目指すべき川のありかたの一つを見つけられた気がした。
私は筑波大で河川、特に防災に関するテーマを研究している。研究手法としては、たいていコンピュータでシミュレーションを行う。年々計算に用いるソフトウェアは進化しており、より詳細に、わかりやすく川の建造物や境界条件を設定できる。しかし、研究において試行錯誤しているのはソフトウェアが正確に動作するかや、シミュレーションの再現方法ばかりで、川に入ることもないまま研究活動を行っていた昨年度は特に「自分はパソコンの前で格闘してばかりで、一体何の研究をやっているのだろう」と思う時もあった。そうした中で今回の訪問を経て、実際に魚道を機能させるためにどのように水を流せばいいのか、現場で試行錯誤する場に立ち会うことができ、より自分の研究が身近に感じられるようになった。それと同時に、川を単なる研究対象とするだけでなく、川と直接触れ合うことの大切さを実感した。そして、何よりその機会をいただけたことに感謝している。
筑波大学 国際総合学類 白川直樹「川と人ゼミ」4年 高橋夏生


