海フェスタ”大村湾”の当町での活動を振り返って

 ご存知ですか?
 「うさぎ追いしかの山 こぶな釣りしかの川・・・」
 100年以上前につくられた文部省唱歌です。これは、見事に「森と川と人と生き物との共生」を歌い上げています。そして、
 「われは海の子 白波の さわぐ磯辺の松原に・・・我が懐かしき住み家なり」
 「ふるさと」と「われは海の子」。私たちの世代、50年前まで、この2つの歌は、「“森と山と海に寄り添う”そんな風土や気質を大事にしよう。」と、日本中の子ども達と親のテーマソングとして歌い継がれていました。豊かな自然環境こそが、私たちの「ふるさと」。そんな時代は、確かにありました。

 この50年、私たちは、便利であることを豊かさだと思い込み、便利さだけを追い求めてきました。しかし、その便利さの陰に大切な忘れ物をしてきたように思います。それは「自然との共生」です。この忘れ物を取り戻そうと、平成9年の河川法改正では「河川環境の整備と保全」が追加され、治水・利水・環境の三つを両立してこそ、真の豊かさだと訴えられるようになりました。河川法の解釈は、一般の私たちには価値として伝わらず、大学等の研究機関やそれにかかわる行政の各専門部署、施行業者及び民間会社の枠内でとどまっているという印象を受けます。これまで数回参加させて頂いた、全国や九州の川のワークショップでも、そのような想いを抱き続けてまいりました。

 私たちの住む日本は、民主主義の国です。・・・多くの人の参加が求められています。

 「『うさぎ追いしかの山 こぶな釣りしかの川…』と皆さん、歌ってください。」
 「豊かな水辺の環境を守ってください。」
と、研究者や専門家にも一番大事なことですが、関心のある人々がどんなに熱心に、まじめに勧めても、子どもたちやその両親、周りの大人たちや老人が「水辺を守ろう」「森を守ろう」と、そこに寄り添わないと、専門の研究だけでは、学問のための研究室レベルのムーブメントに終止し、オープンに、自由に、大多数の方々が集合してくれませんし、日本の豊かな風土は、砂の上の建物に終わってしまいます。

 私たち「彼杵おもしろ河川団」は、幸いなことに“強い絆で結ばれた奇跡のネットワーク”が確立されています。筑波大学「人と川のゼミ」、JRRN(日本河川・流域再生ネットワーク)、福岡から河川土木と河川生物の民間コンサルタント会社、国交省職員、長崎県北振興局河川課、当町の自治体や民間ボランティアグループ等、それぞれのスペシャリストの集団が集合されています。これまでは「彼杵小学校総合学習」「川の生き物の遡上」「どじょうの養殖」などを推し進めてきました。そのような中、今年7月の北部九州の豪雨での地滑りと、杉・ヒノキの里山の崩壊のニュースに私たちの「目がくぎづけ」となり、「大事なものを忘れかけていたのではないか。」と、改めて気づかされるきっかけとなりました。ちょうどその頃、西九州大学短期大学部の津上ゼミ(幼児教育)と、国の公的研究機関である土木研究所の河川生態チーム(共に女性スタッフ中心)との出会いが重なり、「うさぎ追いしかの山 こぶな釣りしかの川…」を解りやすく“絵本”にして、そして“歌”にして、多くの子どもたちや保護者の方々に理解してもらえるような活動を広げ、「今まで関心のなかった人々に、私たちのムーブメントを伝えていこう!」と、そのような機運が盛り上がってきました。ここで、また、私たちの夢に長崎大学教育学部地域教育支援センターの参画も実現しました。

 来年11月(予定)に、「東彼杵グリーンハートホール」にて「森・川・海 緑と水でつなぐワークショップ In 東彼杵」を、これまでの集大成と新たなキックオフとして開催します。子どもたちや学校、保護者や地域の方々を交えた発表会です。よりわかりやすく、オープンに、地域だけでなく、近辺の自治体の方や長崎県単位への呼びかけを考えています。

 やっとここまできた。10年以上を要し、たどり着けました。
 「志を果たして、いつの日にか」
 いつの日にかは、あと5年かな、10年かな。森を健全な森林多様性の里山にし、生物と共生できる川にして、そこに流れ込む大村湾流域の自治体に波長を伝え、地元の閉鎖性海域「宝の海 大村湾」を取り戻す。

 でも、私たちは、その夢を形にするために5年単位で少しずつ、ちゃんとした成果を出してゆく。そうでないと、「宝の海 大村湾」は実現しません。夢は語るものではありません。夢は、ちゃんとしたデザインを描き、形にして、それを積み重ねてこそ大きな形になり、実現します。

東彼杵町公式Facebookより

~ 謝辞 ~

 2017年に実施した「海フェスタ”大村湾”」を通じて、当町で10年以上前から続けてきた「水辺の活動」への地域全体と町内外から関わってくださった皆様の取り組みがさらに発展し、意識の高揚を図ることができましたことを、心から感謝いたします。
 私たちは、「大村湾を豊かな海に戻すこと」を目標に掲げながら、今回の取組みを通じても、どのようにすれば多くの(大村湾を取り巻く長崎県の自治体の)方々に活動を広めていくことができるのかを考え続けてきました。今回の活動が、新たなキックオフのきっかけになったことを、あらためて感謝申し上げます。

2017年11月

東彼杵清流会 顧問 池田健一

ホームページ年間10万PV

 昨年の11月12-13日に、福岡県北九州市の黒崎ひびしんホールで行われた『第16回九州「川」のワークショップin遠賀川』に合わせて私たちはホームページを制作しました。

 目的は私たちの小さな町の活動を広げること。もうひとつの目的は活動をサポートしていただいているスタッフの情報交換やコミュニケーションツールとしての役割です。

 私たちはこの一年、出来る限りホームページを見ていただくため、年間10万PV(ページビュー)を目標とし、活動を公表して「他に問いかける」ことを継続してきました。

 あれからもうすぐ一年が経過します。今トップページのカウンターをのぞくと、いつのまにか10万を少し超えており、目標は達成することができました。

 まだまだアクセス数は小さなものですが、10万回以上の ”問いかけ” が行われた事実は大きな成果と思います。

「彼杵おもしろ河川団」は全国から優秀な研究者が、大切な時間を使って集結しております。
 これからもホームページを通じて、スタッフ間、関連団体、一般の方との距離を縮めるとともに、活動の輪をもっと広げていきたいと思います。

“森・川・海”をテーマにしたワークショップの開催を目指します!

“森・川・海”をテーマにしたワークショップの開催を目指します!
~10月8日の「第6回 水辺からのまちおこし広場」から~

去る10月8日、東彼杵町総合会館の大会議室にて、「第6回 水辺からのまちおこし広場」が行われました。ご参加くださった皆様からは「よかったね。」という感想が多く寄せられました。



その後、10月12日には、地元の寿司屋さんに主要メンバーが集まり反省会を行いました。今後、どのように進め、どのように多くの人々を外部から呼び寄せるのか・・・それがテーマです。

【反省会で挙がった意見・感想】

  • 内容は良かった。これまでは、一部の専門性に偏った論文発表のようであったが、地域を巻き込んだ、解りやすいプレゼンのヒントが出てきた(全員6名)
  • 稲刈りやソフトボール大会、剣道大会などの行事が集中し、来場者が集まらなかった。(藤澤)
  • 内容は良かった。これを外部の多くの人に見せたかった。もったいなかった。(渡邊町長)
  • 発表時間が4分というのは短くて伝わらない。発表時間は皆均等に7分にすべきである。(宮川)
  • 人が集まらないことを、人のせいにしていては何も進まない。全て、地元のかかわった組織、団体の責任者のせいである。(池田)

その中で、誰が言い出したのか、ひとつのアイデアが生まれ、東彼杵町の、また、彼杵おもしろ河川団の今後の展望がさらに広がっていきました。

そのアイデアとは、次回からの「水辺からのまちおこし広場」は、“森・川・海”をテーマにしたワークショップとして開催しようというものでした。
これまで、私たちが参加してきた、お役所主催の九州や全国での「川のワークショップ」から、

  1. もっと自由に!もっとアグレッシブに!
  2. もっと楽しく!もっと解りやすく!
  3. 関心のなかった人でも行ってみたくなる!

このような開かれた「ワークショップ IN 東彼杵」を企画し、そこからまたヒントを投げかけ、ヒントを掴んでゆこう。そんな夢を語り合いました。

そして、これを夢として終わらせず、必ず実現していこうと話し合い、将来は「グリーンハートホール」を会場に開催しようということになりました。ちなみに、「グリーンハートホール」とは、佐世保の「アルカス佐世保」を設計された方の集大成の建造物だそうです。

【新たなワークショップの提案】

  • 「そうだ!アクセス、音響、設備内容は“県下ピカ一”!それを目指そう。」(渡邊町長・池田)
  • 「発表は7分にして、ゆっくりと堂々と伝いたい!」(宮川)
  • 発表時間を7分にして20グループが発表する。その中で、参加者が自分以外のグループに投票しグランプリを決めよう。
    ※ 町内の各グループ、筑波大学の白川ゼミ、西短の津上ゼミ、JRRN、直方水辺館、国交省職員、河川生物コンサルタント(民間)、河川土木コンサルタント(民間)、公的コンサルタント、土木研究所、長崎大学教育学部地域教育総合支援センター、それと、大村や川棚の愛護団体で外部から10組は予定に組めます。
  • 町内、各地域や県内の、できれば子どもたちやその保護者も参加できる内容に解りやすく考えてゆこう。
  • 実行委員長は、筑波大学の白川先生の予定(私の恩師 坂本先生より提案)

最後に今回のグランプリは、地域の寿司屋さんでの反省会参加者全員一致で、西短の津上ゼミでした。

【皆さんからの意見】

  • 彼女らは相当練習しとる。(宮川)
  • 解りやすかった。(藤澤)
  • もっと地域や地域外の子どもたち、保護者を呼べるヒントになった。(渡邊町長)

では、賞品には「赤いカヌーの使用権を差し上げよう!」・・・全員納得。
次年度、5年後、10年後、この企画は大きく化けますよ。お楽しみに!

団長 池田健一

「第6回 水辺からのまちおこし広場」速報

「第6回 水辺からのまちおこし広場」が開催され、今年の取り組み結果について報告しました。




 県北グリーンクラブの「どんぐりのポット苗作り」の協力をお願いしたところ、28500円の募金が集まりました。ご協力ありがとうございました。


 



 当日は「彼杵おもしろ河川団」の来期の計画について打ち合わせが行われました。

初めて参加した感想と報告

初めて東彼杵に行き、おもしろ河川団の活動に参加しました。とにかく楽しかった思い出を共有したく、こちらに書かせていただきます。

まず、とにかく川がきれいだという印象が強かったです。しかし、地元の方や河川団の方によれば上流はもっときれいとのこと。川に入って遊ぶ習慣もありませんでしたが、川に入って遡上実験をしているときは子供のころに戻ったように感じました。

私が担当したのは傾斜板を囲っている網の中に魚を捕まえて入れることでした(当日の様子はこちら、詳しくはこちらにあります)。最初は小さな網を使って、川の浅いところで捕まえていました。川の端に生えている草のあたりを突くと、泥に交じって小さな魚が網に入っていました。これほど簡単に魚がとれることがとても楽しく感じました。

しかし、小さな魚ではあまり実験には使えないとのことだったので、途中から大きな網に切り替えました。腰くらいまで深さがある場所で、二人がかりで行いました。要領は小さな網のときとほぼ同じで、スケールアップしただけでした。一人が草の根元あたりに網を付けておき、もう一人が足で草の根のあたりを蹴って泥で水が濁る状態にします。そうすると魚の視界が悪くなり、間違って網の中に入ってしまうのだとか。「いやいや、それで捕まるほど魚の頭は悪くない」と半信半疑でしたが、実際にやってみると捕まるものですね。小さな網よりも大きな魚がとれること、単に草の根元を蹴ることさえも楽しくなって何度も繰り返していました。

そろそろ取れなくなってきたと思っていたころに(本当は下流から上流に向かってやるのがいいそうですが、初心者の私たちは上流から下流へ)、ウナギを捕まえました。天然のウナギが存在することにまず驚き、それを捕まえられたことにも驚きました。これが傾斜板を上ったら確実に見えるだろうとのことだったので、実験にも貢献できたようでした。

魚を捕まえる部分はとにかく楽しくて、おもしろ河川団のみなさんがとてもいい活動をしていると感じました。楽しい部分を担当させてくださり、ありがとうございました。

(筑波大学白川研究室 岸田まりな)

第10回いい川・いい川づくりワークショップ

 1日目、「あらっ」と思いました。テーブル選考の際、高校の授業を思い出しました。

「苦手な授業が始まった・・・・」

 最初は、「今日は、読書感想文の発表の国語の授業だ。」と思って入りました。でも、大嫌いな数学・理科の教室に間違って入り込みました。
 自分なりに努力はしました。でも、途中で気づいて授業が解らず、イライラしてきました。

 「席を立つな。ガマン、ガマン・・・・」

 それで、眠くなり、あえなくダウン。

 でも、良かったと思っています。また、いつか、「倍返しするぞ!」というエネルギーがふつふつと湧いてきました。
 そもそも、東彼杵から4人、福岡から4人、茨木から2人、東京から1人、佐賀から3人、佐世保から2人、それと“山の神”が1人。まさに奇跡の人間ネットワーク!!!

 全員での集合写真。あの時の記憶は、私は、最後までしっかりと心に刻みます。
 あの瞬間、私の中では大会が終了していました。この5月からの急展開、ターニングポイント・・・皆様にも笑顔で理解してもらいました。
 間違った教室から這い上がる努力をしても、しようがない。
 「今後は、もっとしっかり、私がサポートしてあげる。よくやったよ。」
と、そんな風にアドバイスしてくれた女性が周りに2人いらっしゃいました。

 翌日の敗者復活戦。私は、遅刻しました。そして、クライマックスは、また、女性の方と涙ぐみながら話し、なぜか、最後まで会場にいたたまれず、早退しました。

 居眠りと、遅刻と、早引き。50年前の私の青春でした。

団長 池田健一

大木トオルさんとの出会いから~つなぐ「生き物を守るバトン」~

 今年の5月、筑波大学「白川ゼミ」に招かれて、私は、大学のダイビングプールで、仕事以外の唯一の特技である“シュノーケリング”を披露させて頂きました。
 その後、「ミスターイエローブルース」大木トオルさんの“セラピードッグ”の講演を間近で拝見させて頂きました。トオルさんは、「東京オリンピックまでに、日本での“犬・猫殺処分ゼロ”を目指す。」それを、はっきりと提言されています。

 長崎に帰ってから、どうして“殺処分ゼロ”ムーブメントを実現されるのか、ずっと考え続けてきました。その後、朝日新聞(2017.3.12)の日曜日の全面広告と、「名犬チロリ」の絵本を送付いただき、“殺処分ゼロ”ムーブメントの実現の確証を、私は受け取りました。

 講演で見たリアルな動画。日本での犬・猫の殺処分はガス室送り。先進国と言いながらも日本には、ナチスの時代と同じく残っている「動物ホロコースト」のようなガス室がある。さらに、ガスを節約するために、まだピクピクしている犬や猫をそのまま焼却している自治体があることも知りました。それは、目と心に今も焼き付いています。

  1. そのメッセージを、欧米の愛犬家と連絡を取り合い、みんなで協力し、東京オリンピックまでに“犬・猫の殺処分ゼロ”を実現する。まずは、日本、そして、世界に・・・。「名犬チロリ」の絵本。現在の社会情勢に訴求される、今がジャストタイミング!
  2. そんな時に出会った、おもしろ河川団の女性主体の2つのチーム。土木研究所と西短津上ゼミ。
  3. 当町の図書館では、川の生き物“アユさん”が主人公になっている紙芝居が完成していた。(これは当方の乱雑なメモが舞台形成の物語になり、児童対象の読み聞かせチーム「くじらっこ」の皆さんのおかげで、紙芝居として6年前に完成していたものです。この6年前のことは、私は全く忘れていましたが…)

 これら①②③の3つの不思議な複合要因で、紙芝居に登場する川の生き物“アユさん”から、主人公が「アキラ君」にバトンタッチし、アキラ君の裏山の大雨による土砂と人工林の流出から始まり、アキラ君が大きくなった時、仲間たちと裏山から切り出した杉・ひのきを町の図書館の薪ストーブの燃料につかい、そこにはたくさんの人が集まってくるというストーリーが展開していきました。6年前の紙芝居が、今、おもしろ河川団の女性チームによる“絵本大作戦”に拡がってスタートしています。

 筑波大学でリアルに見せて頂きました、大木トオルさんのセラピードッグの講演と、私たちのリクエストによる、大木さんの友 BEN.E.KING作曲の、あの名曲「スタンド・バイ・ミー」の本場のソウルフルなハートに響く熱い歌声。どちらも、私たちの心の中にしっかりと焼き付いています。大木トオルさん、ありがとうございました。

「忌まわしい現実を“殺処分ゼロ”にすべく熱い闘い」、3月12日の全面広告に刺激を頂き、私たち、彼杵おもしろ河川団も熱い思いを胸に、川の生き物を守るために「人は生き物の一員である」とのプライドを持って、これから前へ少しずつ進んでゆきます。
 しっかりと、川の生き物を守るバトンを、大木トオルさんから託されました。

「動物愛護法」の法律の定義は「何人もみだりに動物を殺してはならぬ」
 それが基本理念です。

 それと同じく、平成9年の「河川法」の定義も「利水と河川環境のバランス」
 その中での河川環境の意図は「自然と川の生き物との共生、バリアフリー」です。動物愛護法の動物には、犬や猫以外の野生の生き物も含まれています。もちろん、自然の中の川の生き物、アユやドジョウやカニさんも入っています。「動物愛護法」と「河川法」・・・共に、利便性を求めた人間社会の中で、人間以外の他の生き物を「弱者にしてはならぬ」そんなことだと、私は思っています。

「人間は万物の霊長」であるならば、人間以外の生き物の「悲しみ」も「弱さ」も、そして「はかなさ」も「慮らぬばならぬ」。それが、「霊長の責務」です。

 大木トオルさんから、そんなエネルギーを頂きました。ありがとうございました。
 また、いつか、お会いできればと思っています。

団長 池田健一

ドジョウ捕り(5月26日の話)

  • 日時:5月26日(土) 14:00~17:30
  • 場所:霞ヶ浦周辺の水路ほか
  • 参加者:4人

5月26日、筑波大の研究室で飼育・観察するドジョウを捕まえるべく、レンタカーに乗り込み霞ヶ浦に向かった。霞ヶ浦に到着すると、初めに水路でドジョウを探し始めた。この日は晴れていたものの風が強く、霞ヶ浦は波立って荒れていた。そのせいか水路も水が多く濁っていた。

二人が胴長を着て水路に入り、腰まで水に浸かりながら網でガサガサ。泥を掬い上げてみるとさっそく何やら跳ねる魚の影が…タナゴだ。魚がいることがわかったので、定置式のワナを仕掛けつつ、その後もしばらく同じ水路でガサガサ。タナゴやフナが何匹か捕まったが、ドジョウは未だ発見されず。

そうしていると散歩途中の男性から声を掛けられた。

「そこにはドジョウはいないですよ。ドジョウはもっと水が浅い所じゃないと。」

聞くところによるとその男性は地元出身の元鉄道マンで、お父様が霞ヶ浦で漁師をされていたそうだ。子供の頃にはこの辺りでドジョウをたくさん捕まえていたということで、いろいろな話を聞かせてくれた。

  • 夜、雨が降って雷が鳴ると喜んで棚田の水路に罠を仕掛けに行った。翌朝にはたくさんのドジョウが入っていた。
  • ドジョウの味噌汁の作り方は味噌汁を作っておいて、熱々の鍋の中にドジョウを生きたまま丸ごと入れる。入れた瞬間にバチバチッと跳ねるので、素早く蓋をしないといけない。
  • 一番おいしいのはドジョウの卵とじ。醤油と砂糖でささがきごぼうを煮た中にドジョウを入れ、素早く蓋をして煮る。最後に卵でとじて出来上がり。
  • 田んぼでドジョウを捕まえるのなら水を浅く張るか抜いてしまうといい。夜は動かなくなるので、捕まえやすくなる。

2人がドジョウについての話を聞いている間も他の2人はドジョウ探しを続けたが、結局この水路では捕まらず。男性にお礼を言うと場所を移動することにした。

水田に場所を移し、再び胴長を着て水田の横の水路に入った。底の泥がとても柔らかく、予想以上に深さがあった。泥に足を取られながらガサガサすると…ついにドジョウがいた!小さいが、ぬるぬると元気よく動いていた。目的達成である。

目的達成後もしばらくガサガサを続けてタナゴやフナ、ザリガニなどを捕まえ、夕日とともに帰途についた。

今回捕まえた生き物たちは研究室の水槽で飼育する。ドジョウも水槽の中で元気に泳いでいた――さて、このドジョウは東彼杵町でのドジョウ養殖プロジェクトを成功させるヒントを与えてくれるだろうか?

貴重なお話を聞かせてくださった男性にこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

(白川研研究室『川と人』ゼミOG 中前  千佳)

「虫の目と鳥の目のお話です。」

 この4年間、全国の各分野の専門家の方々が、東彼杵町に年に数回集合されて、傾斜板の研究を続けてきました。日本の河川にこれから必要になるであろう、河川工法の大幅なコストダウンの研究です。一点を集中し、見続け、考え続け、少しずつ答えを出す。その視点は、まさしく虫の目です。
 でも、ムーブメントを世に問いかけるには、海と川と山の全体を、高い場所から俯瞰する鳥の目も必要だと感じていまして、今回は、その展開を私なりに述べさせていただきます。

 私は、2匹の犬と、90×45×45㎝の水槽の川の生き物の面倒はよくみます。家と工場と目の前の川と海にしか興味はない。その行動エリアは、遊びなのか、ライフスタイルなのかよく分りません。(観光や旅行にも全く興味なし。)それが拡大したのが、1kmに近い目の前の川のエリア、1km×3m×40㎝の巨大水槽。それが、私の視点でした。まさしく、虫の目です。そこに、これまで多くの方々が集合し、整列されて、もう12年間続いています。面倒くさい当方に、お付き合い、ありがとうございます。

 ずーっと川と海を見続けてきましたが、雨が降るたびに、何故か土砂が流れ込む。「まあ、いいか。」と、私も皆様も面倒くさいので考えないようにしてきました。

 そのような中、今回の北部九州大雨による、山の傾斜面の針葉樹(杉・ヒノキ)の地滑りのニュースが流れました。私は、坂本先生、中島さん、和田さん、白川さん、五十嵐さんに電話をかけ、「おかしくないですか。」と相談しました。また、東彼杵清流会発足当初から関わりのあった横尾さんに電話をすると、「家の裏山に広葉樹の苗を植えたらどうですか。」とボソッと言われたのです。同時に、土木研究所様からも、ちょうど資料を頂きました。これまで、“見て見ぬふり”“くさい物にフタ”をしていましたが、「本当に川の生き物を守れるのか。」・・・皆様と相談し、フタを開けて、もう一つ、「鳥の目のムーブメント」を少しずつ展開することになりました。

 当町の渡辺町長と何度も相談して、里山、森の保全は、その有効活用無しでは長期継続は難しいため、東彼杵町の山の斜面と杉・ヒノキの健全な人工林から、天然林の活動を通して、人とお金が流れる資源として活用してはどうかということになりました。それを「里山資本主義」というそうです。それは、いろんな形で全国に広がりつつあります。今回の北部九州での大雨と地滑り。それはきっと・・・
「虫の目から鳥の目」
「海と川と山の全体的な連系」
の大きなターニングポイントになります。
 よかったら、角川文庫「里山資本主義」(781円)を、皆様もお買い求めになられることをお薦めします。表紙イラストは、スタジオジブリさんです。

 平成9年の河川法の定義、利水と環境保全を、どうすれば解りやすく伝えられるのかと考え、今回は、西九州大学短期大学部 津上ゼミ(幼児教育)の参画もあり、ホームページ上での紙芝居の展開となりました。
 川の生き物の長老(なまず)、川の家族(カニ親子)を水中めがねで観察するちびっこ。そんなストーリーを、幼児向けにフリーライターの江崎さんが制作中。また、ちびっこと両親に語りかけるようなストーリーを、西九州大学短期大学部 津上ゼミが制作しています。紙芝居(もしくは絵本)のイラストは、津上ゼミの担当です。しっかり頑張ってください。力量が試されていますよ。

 里山資本主義を、ホームページ上の絵本で解釈し、スタートする。それは、お金も労力もムダな時間も必要ありません。必要なのは、「創造力」「企画力」「展開力」そして、勇気です。
 最後に、人生の成功に重要なのは、才能ではなく「やりぬく力」【GRIT】。そんなフレーズに接する機会も、今回ありました。

 それでは、みなさま、よろしくお願いします。

団長 池田健一