「虫の目と鳥の目のお話です。」

 この4年間、全国の各分野の専門家の方々が、東彼杵町に年に数回集合されて、傾斜板の研究を続けてきました。日本の河川にこれから必要になるであろう、河川工法の大幅なコストダウンの研究です。一点を集中し、見続け、考え続け、少しずつ答えを出す。その視点は、まさしく虫の目です。
 でも、ムーブメントを世に問いかけるには、海と川と山の全体を、高い場所から俯瞰する鳥の目も必要だと感じていまして、今回は、その展開を私なりに述べさせていただきます。

 私は、2匹の犬と、90×45×45㎝の水槽の川の生き物の面倒はよくみます。家と工場と目の前の川と海にしか興味はない。その行動エリアは、遊びなのか、ライフスタイルなのかよく分りません。(観光や旅行にも全く興味なし。)それが拡大したのが、1kmに近い目の前の川のエリア、1km×3m×40㎝の巨大水槽。それが、私の視点でした。まさしく、虫の目です。そこに、これまで多くの方々が集合し、整列されて、もう12年間続いています。面倒くさい当方に、お付き合い、ありがとうございます。

 ずーっと川と海を見続けてきましたが、雨が降るたびに、何故か土砂が流れ込む。「まあ、いいか。」と、私も皆様も面倒くさいので考えないようにしてきました。

 そのような中、今回の北部九州大雨による、山の傾斜面の針葉樹(杉・ヒノキ)の地滑りのニュースが流れました。私は、坂本先生、中島さん、和田さん、白川さん、五十嵐さんに電話をかけ、「おかしくないですか。」と相談しました。また、東彼杵清流会発足当初から関わりのあった横尾さんに電話をすると、「家の裏山に広葉樹の苗を植えたらどうですか。」とボソッと言われたのです。同時に、土木研究所様からも、ちょうど資料を頂きました。これまで、“見て見ぬふり”“くさい物にフタ”をしていましたが、「本当に川の生き物を守れるのか。」・・・皆様と相談し、フタを開けて、もう一つ、「鳥の目のムーブメント」を少しずつ展開することになりました。

 当町の渡辺町長と何度も相談して、里山、森の保全は、その有効活用無しでは長期継続は難しいため、東彼杵町の山の斜面と杉・ヒノキの健全な人工林から、天然林の活動を通して、人とお金が流れる資源として活用してはどうかということになりました。それを「里山資本主義」というそうです。それは、いろんな形で全国に広がりつつあります。今回の北部九州での大雨と地滑り。それはきっと・・・
「虫の目から鳥の目」
「海と川と山の全体的な連系」
の大きなターニングポイントになります。
 よかったら、角川文庫「里山資本主義」(781円)を、皆様もお買い求めになられることをお薦めします。表紙イラストは、スタジオジブリさんです。

 平成9年の河川法の定義、利水と環境保全を、どうすれば解りやすく伝えられるのかと考え、今回は、西九州大学短期大学部 津上ゼミ(幼児教育)の参画もあり、ホームページ上での紙芝居の展開となりました。
 川の生き物の長老(なまず)、川の家族(カニ親子)を水中めがねで観察するちびっこ。そんなストーリーを、幼児向けにフリーライターの江崎さんが制作中。また、ちびっこと両親に語りかけるようなストーリーを、西九州大学短期大学部 津上ゼミが制作しています。紙芝居(もしくは絵本)のイラストは、津上ゼミの担当です。しっかり頑張ってください。力量が試されていますよ。

 里山資本主義を、ホームページ上の絵本で解釈し、スタートする。それは、お金も労力もムダな時間も必要ありません。必要なのは、「創造力」「企画力」「展開力」そして、勇気です。
 最後に、人生の成功に重要なのは、才能ではなく「やりぬく力」【GRIT】。そんなフレーズに接する機会も、今回ありました。

 それでは、みなさま、よろしくお願いします。

団長 池田健一

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